フエタロさんの日記です。

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『失われた近代建築 in Tokyo』

http://yma2.hp.infoseek.co.jp/TokyoArch/index.html
ブックマーク経由で知ったサイト。東京の近代建築で、既に取り壊された物や取り壊される予定の物をまとめていて、幼い頃や若い頃に見たり書物の上でしか触れた事のない懐かしい建築物が往時の街並みを偲ばせる。
と、いいつつ実は意外に思ったのがこのサイトに対する被ブックマーク数の多さ*1。特に近代建築好きが多いとは思えないはてブでここまで反応があるという事は、僕も気づいてなかったけれども、別に建設業界に携わる訳でもなく、建築マニアという訳でもないごく普通の人々が近代建築に向ける潜在的な関心は大きいのかもしれない。
こういった人々の関心をよそに、ある程度の歴史を積み重ねた近代建築が日々解体されているのは、この東京に於いて経済的に価値を有するのはごく一握りの例外を除いて、土地であってうわものの建物ではないからだ。地価が高く固定資産税も洒落にならないこの都市で、その経済的価値の有効利用を考えれば、機能の低い古い建物を修繕して使っていく事はコスト面でもキャパシティ面でも非効率的と云わざるを得ない。土地のオーナーとしては、そんな厄介者を身銭を切って残そうと思う道理があるはずもない。
だけども、ひとたび無くなった街並みはもう戻ってこない。壊してしまってからでは遅いのだ。
写真の中やCGでモニタの中に再現されたささやかな記憶でなく、地霊の宿った本物の建物に触れてしか、唯のノスタルジーに終わらない、歳月を超えて積み重ねられた都市の歴史は実感出来ない。
その為に個人個人が出来る事なんて、本当はないかもしれないけれど、こういった小さな場所でささやかに『こういう古い建物もいいよね』と声をあげる事は、積み重なってどこかへ続いていき、消えていくかもしれない建物に意味とか価値とかを少しでも与えてあげられればいいのにと思った。