フエタロさんの日記です。

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『秒速5センチメートル』観てきたよ。

待望の新海誠監督の最新作は、一人の男性の小学〜中学、高校、社会人と異なる時期を描いた連作短編。まぁ面白いことは面白いんですが、感想は前2作*1と大体おんなじだったり(笑)。新海節炸裂なセンチメントやマコティックフィルターバリバリな美麗背景とかちょっと力不足ぎみなキャラの絵面とか。まぁファンなので全然オッケーな訳ですが。ただ本作はSFなし舞台は現代という事で、いい塩梅で地に足感が感じられて万人におすすめできる作品に仕上がってるという気がするのでみんな見るべし見るべし!
という訳で以下各話の感想。微ネタバレなので読みたい人だけどうぞ。

『桜花抄』

豪徳寺に住む中1の少年が、はるか遠くの北関東は栃木(笑)と離れ離れになってしまった女友達を訪ねて宇都宮線を駆るが雪で雪隠詰めで半ベソという文章にするとみもふたもない話だけどもそこは新海マジック!!ローカル線の押しボタンのようなディテールの積み重ねと田んぼに積もる雪を荒野と見立てるロマンチシズムで少年の通過儀礼の旅として見事に昇華しております。ラストのキスシーンとモノローグの甘酸っぱいむず痒さはこれはこれで好きなんだけど、まぁ続かんだろうなぁと冷静に心の中で突っ込む自分。だかそれがいい。あと両毛線が出るので両毛線マニアは必見!!でも北関東はたしかに南関東より寒いけど、あそこまでドカ雪降るのは稀なんじゃなかろうか。ちなみにジュースは110円。微妙に時代を感じる(笑)。

『コスモナウト』

大仰な章題だけども、舞台が種子島というだけで別に誰かが宇宙飛行士を目指すわけじゃなく普通に女子高生の片思いを描く話。本当に普通すぎて手の届かない片思いや見えない進路に悶々とするさまはこれまた甘酸っぱいむず痒さ(笑)。でもカナエの眼に映るかタカキよりも、実際のタカキは色んな鬱屈した思いや自分の無力さを感じていたんだろうなぁとか。ロケットを運ぶコンテナ車やロケット打ち上げを人の作った巨大なモノとして背景で扱う視点が若者の無力感を際立たせる。それと比べて夢のシーンはリアルリアリティすぎて逆に違和感かも。ちょっとだけ近未来SFっぽい要素が国産外宇宙探索機。まぁ本筋とは関係ないわけですが。ちなみに携帯メールが出てきます。

秒速5センチメートル

飛び道具の山崎まさよしキター!(笑)。もうね、絵と歌詞がヤヴァいくらいばっちり合ってる訳ですよ。これでもうノックアウトな安い俺がいる。2人のその後をもっとしっかり描いて欲しかったとか思ったりもするけど、これやられたら負けだよズルイなぁと思った。結局踏んだりけったりのタカキだけど、こういうほろ苦いラストのがヘタに再会するより映画的に畳める風呂敷をあえて畳まずな雰囲気を醸し出してて良いんではないかと。ちなみにタカキ君のPHSWILLCOMWX310Kビターオレンジ。僕の機種変前とおそろい(笑)。
という訳で劇場から出た後の渋谷の街はマコティックフィルターがかかってていつもより綺麗に見えた気がした。

*1:ほしのこえ』の感想>id:Fuetaro:20040627:p1 『雲の向こう、約束の場所』の感想>id:Fuetaro:20041120:p1