フエタロさんの日記です。

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アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン見てきたよ。【ネタバレあり】

TOHOシネマズ新宿、公開初日初回の2D版を見てきた。まあ今までのマーブルシネマティックユニバース(以下MCU)の作品群の完成度を見ていればつまらない作品になるわけがないと信頼していたが、ちょっと期待とは違う物凄さで非常に驚かされた。エクセルシオール
まあ何が物凄かったかというと、その情報量。2時間21分の上映時間、最初のカットからエンディングクレジット中に出てくるいつものアレ的なカットまで、とにかく今までのMCU作品全てチェックしてないと理解が難しい位にキャラや情報を詰め込んでいて、アメコミ邦訳版を読み込んでる自分でも正直情報を咀嚼しながら見るのが物凄く忙しい感じだったという、今までにない凄まじいアメコミ映画体験だった。そう、あたかもアメコミのクロスオーバー作品を読んでいる時のような、そんな目まぐるしいある種の不親切さ混じりの作風、遂に本気を出してきてるなあ、と。アメコミ邦訳版に付いてくる、やたらと情報量の多い脚注の書いてある紙がこの映画にも必要かもしれんね。
また、そのいわゆるアメコミらしさ、というのは戦闘シーンにも現れていて、冒頭のハイドラ基地襲撃シーンやラストの防衛戦での長廻しや真横から全員のキメポーズを納めるカットはまさに見開きで展開されるアメコミの戦闘シーンの映像化そのもので、これはアベンジャーズだからこそ、今までMCUとして11作品を積み重ねてきたからこそ可能になった演出といえるだろうな。各単体作品でのキャラの書き込みがあればこその説得力。
ストーリーとしては来るべき新たな侵略者に備えて、トニー・スタークとブルース・バナーが共同開発したAIロボット、ウルトロンが狂った自我を芽生えさせ人類絶滅を目論むという流れなのだが、原作だとウルトロンを製作したのはアントマンことハンク・ピム博士で、博士キャラが多くなり過ぎるから変更したんだろうね。ちなみにMCUで今度映画になるアントマンは二代目のフリッツ・ラングだそうで。まあ要するにトニーとバナーがいらんことしてトラブルになるといういつものアレですな。原作のハンク・ピムやリード・リチャーズも結構そんな感じの扱いだったので、マーブルユニバースの科学者ってなんかだいたいそんな連中ばっかしなのかも。
冒頭ハイドラの秘密基地襲撃でスタートするわけだが、とにかく説明抜きでいきなり始まる長廻しの戦闘シーンがとにかく格好良い!そして全体的に本作ではキャップのシールド捌きが進化していて見応えあった。後半のウルトロン軍団相手ではとにかく手加減抜きで、人間だったら激しくゴアな感じの損壊っぷりだし。この破壊力を持ってしても盾だから武器じゃないよと言い張るMarvel社マジ鬼畜。
ここで敵の改造人間として立ちふさがるのがスカーレットウィッチことワンダとクイックシルバーことピエトロのミュータント姉弟。ちなみにお父さんはマグニートーだけどMCUではどういう扱いになるんだろうね。ピエトロの能力は原作通りだけど、ワンダの確率改変能力はさすがに映画で描写するの難しいからか、サイコキネシスとテレパシーになっていた。それでも暴走列車を止めちゃったり神様に精神攻撃仕掛けたり出来るくらい強力な訳だが。プロフェッサーXのレベルに近いかも。
目的であるロキの杖を奪還して、意気揚々と基地へと帰還するアベンジャーズの面々。勝利の余韻に浸って和気あいあいと語り合っている訳だが、まあそのうち仲違いしたり気まずくなっちゃうだろうなあというのは観客の誰もが思っていたんじゃなかろうか。そうでないと映画にならないし。ここで登場するのがスタークの友達で生化学の権威、チョ博士。オリジナルなのかと思ったけど、調べてみるとワールド・ウォー・ハルクとかに出てくるアマデウス・チョの母親らしい。本作では韓国政府の誘致で制作費支援を受けての大規模ロケをソウルで行っている為、その必然性を作るために韓国人キャラを入れる為には原作に一応名前のある東洋系キャラとして名前を持ってきたんだろうか。その後の関係者を招いてのパーティではファルコン、ウォーマシン、マリア・ヒルらが登場。ここのシーンも情報量が多くて、ファルコンが消えたフューリーの行方を追っているとか、トニーの後を継いで社長になったペッパー大忙しなどの周辺事情が語られる。ジム・ローズはサム・ウィルソンが軍人になってキャラが被るせいか、ちょっとコメディリリーフ的なキャラになってた。あとキャップの友達の退役軍人爺軍団の中にちゃっかりスタン・リー。今回はお馴染みのエクセルシオール!の決め台詞をカマしてくれるといういつも以上のファンサービスっぷり。余談だけどヒルとナターシャのスカート、ちょっとフェミニン過ぎて似合わない気がした。アベンジャーズみんなでムジョルニアハンマーを持ち上げようとするシーン、色々小ネタもありつつ面白かったけど、キャップがハンマー持てなかったのはちょっと納得いかない。微動はしてたけど。
そしてトニー達が秘密裏に制作していたウルトロンが暴走&脱走、逃げ出した先は超金属ビブラニウムの産地、南アフリカの小国ワカンダ!マーベル世界ではラトベリアやジェノーシャなんかと並んで重要な架空国家で、今後映画化が予定されている黒人王様ヒーロー、ブラックパンサーの本拠地でもある。こういう地味な伏線の張り方がMCUの醍醐味の一つでもある。ここでも一行の前に立ちふさがるはマキシモ姉弟、戦争孤児となった両親の死因がスタークインダストリー製の爆弾によるものだという事実が明かされる。やっぱトニーか!ワンダの精神攻撃により、キャップ、ウィドウ、ソーが見せられる悪夢が色々またネタが詰まっていて、キャップの夢にはペギー・カーターが。ちらっと髭の男性がいたのでトニーのお父さんかもしれんけど誤認かも。ウィドウはKGBでの暗殺者教育の凄惨な記憶が。一瞬出てきた格闘技の教官、ウィンター・ソルジャーことバッキーに見えたけど、本作でバナーといい雰囲気になってたから、そこら辺の過去の因縁はMCUでは出てこないかも。ソーの悪夢にはアスガルドの門番ヘイムダルが。原作では白人だけどフューリー同様MCUでは黒人に変更されている。僕はこっちのルックスのが好みではあるな。ワンダによる催眠で暴走して街へ繰り出して大暴れするハルクを追って、アイアンマンが投入する秘密兵器は衛星軌道上から投下される通常のアーマーの上からさらに強化外骨格として装着されるハルクバスター。ハルクを全く信頼していないトニーの猜疑心の強さが役に立ってしまったという皮肉な展開である。このヨハネスブルグでロケされた戦闘シーンは本作で一番のアクションの魅せ場なんじゃなかろうか。ハルクにパーツを破壊されても、その部分を射出して交換しながら闘うという継戦能力の高さは凄まじいな。でもそれより凄いのは建設中のビルを丸ごと買い取るスタークの個人資産。バットマンとどっちが裕福だろうか。ハルクをノックアウトしたフラッシュピストンマッハパンチかっこいい。
そしてここから始まるアベンジャーズ一番のthe一般人、ホークアイさんの大活躍!前作でロキの洗脳でさんざん痛い目に合わされた苦い経験によって、洗脳耐性という便利な技能でワンダを一蹴!そしてフューリーの計らいで危険を避けて隠匿生活を送る彼の妻子の住まうセーフ・ハウスへと御一行様を案内するとボロボロのアベンジャーズの中で光る粘り強さ。ちなみに原作では独身だけど、アルティメットバースでは妻子があり、実は敵のスパイだったブラックウィドウに妻子を惨殺され、捕囚となって病院に監禁されているウィドウを復讐に燃えて殺してしまうという救いのない展開だったおかげで、映画を見てる最中バートンの妻子とロマノフが仲良くしてるのを見るとちょっとドキッとしてしまったりした。ここでひょっこり現れるニック・フューリー。一生懸命探してたサムの立場は一体…。ロクな事にならんから今後AI作るの禁止な!とトニーに釘を刺すけれど、結局後々ビジョンを作ってしまうという次第。原作のAoUで、ウルヴァリンが過去のハンク・ピムに、大変な事になるからウルトロン作るなと警告したってどうせ聞きやしないから殺すのが正解だ!って言ってたけどまさにそれと同じ、マーブル世界の科学者はダチョウ倶楽部並の倫理観の持ち主ばかりである。いいか、押すなよ。
次なるウルトロンの狙いは韓国にいるチョ博士。どうも機械の身体に満足いかず生体ボディをベースにしたアンドロイドになりたかったらしい。そこら辺どうしてそういう考えに至ったのかは正直イマイチ理解出来ないが、まあ狂ったAIの考える事だしな。そしてウルトロンの最終目的が世界平和ではなく人類抹殺だというのに遅まきながら気づいてしまったマキシモ姉弟が離反してアベンジャーズに合流するのだが、そのきっかけとなるのが暴走列車から人々を救うという行動というのが、スパイダーマン2を彷彿とさせてちょっとグッと来た。でもワンダが列車を止めようとしてる時にぼーっとみてるキャップにはちょっと幻滅した。お前も手伝えよ。ソウル市街地でロケしたパートは、韓国市場での人気と韓国政府からの助成金を見越しての事らしいのだが、他のパートに比べるとちょっと地味というか色気のない感じ。昔からアメコミで舞台になってきた日本でロケしたウルヴァリンと違って、あまりアメコミと関連の深くないお国柄なので、マーベルスタッフもちょっと攻めあぐねてた感じはある。でもウィドウのバイクアクションはなかなか良かった。あと小ネタだけど、ネットの情報を探りに情報施設に行ったスタークの後ろでサムズアップしてSNSに写真をアップしてるっぽい若者が可笑しかったがあれは一体なんだったんだんだろう。エージェント・オブ・シールドとかにリンクするのかな。
拐われたウィドウの代わりに手に入れたアンドロイドボディ、サポートAIのジャービスをインストールして、額にはロキの杖から出てきたインフィニティジェムを装着、さらにソーの雷撃でなんか生命に目覚めてビジョン爆誕!ソーのムジョルニアハンマーは軽々と持ち上げるとかちょっと都合良すぎる感じはしないでもない。原作ではワンダと結婚している訳だがそこら辺は結構古いエピソードで邦訳されてないからどうしてそうなったのかはよく分からんのよね。ワンダはビジョンのどこに惚れたのやら。
そしてロマノフからの秘密通信で明らかになる最終決戦の地、北欧はソコビアへ向かう一行。ウルトロンの目的はビブラニウムで作られた謎の装置でソコビア全土を浮上させ地球に落とそうというもの。まるで逆襲のシャアですね。住民ごとこの地を粉砕すれば地球は助かるかもというウィドウの提案を一蹴するキャップ。前作のNY戦、本作のワカンダやソウルにおいても貫かれた人々を守る為の戦いというアベンジャーズ大義の中心に、キャプテン・アメリカという目的の為であっても手段を曲げない男が必要だというのがこの会話でよく分かる。しかし全く正反対のスタークと、のちのちシビルウォーという悲劇を引き起こす事になるであろう対立軸は、本作を通じてその萌芽を描いているのだろうなあと勝手に読み取った。まあインフィニティウォーもあることだし、原作ほど深刻な事態にまで発展はしないと思うけど。
ここで本作一番のサプライズ、突然のヘリキャリア!ウィンター・ソルジャーで3隻全部キャップがぶっ壊したのにまだ残ってたのか。車庫から引っ張り出してきたとか気楽にいうなよフューリー。しかも逃亡生活しながらシールド再編までしてたとか万能すぎるだろ。でもまあカッコいいから許す。マリア・ヒルもスカートよりシールド制服姿が似合うな。ヘリキャリアと一緒にウォーマシンが出てきたのに、どうしてファルコンは一緒に来なかったんだろうな。せっかくの空中戦なのに。本作一番のがっかりポイントである。キャップとソーが住民を救うシーンとかで颯爽と救援に駆けつければいいのにな。そしてもうひとつのサプライズが逃げ遅れた子どもを救うために奮闘するホークアイを庇って敵弾に倒れるピエトロまさかの死。中盤の身の上話で語られた過去の自分と子どもの姿をダブらせて、見捨てるわけにいかなかったんだろうなあと思うと泣ける。でもここでピエトロ死んじゃったらインヒューマンズでクリスタル出てきて結婚出来ないじゃないか!どうするんだ!住民の避難も無事完了して、アイアンマンとソーのツープラトン攻撃により浮かび上がったソコヴィアの破壊に成功。でもソコヴィアの人たち土地も財産も根こそぎ奪われてもう難民になるしかないんじゃなかろうか。
戦いも終わり、トニー、バナー、ソーは離脱、残るキャップ、ホーク、ウィドウに加え、ワンダ、ビジョン、ウォーマシン、ファルコンによる新生アベンジャーズが誕生してフィニッシュ。構成メンバーが入れ替わっていくのもアメコミの面白さの一つなので、欲を言えばシビルウォーで内紛する前にこのチームアップでの活躍も見たかったなあ。