当方初代TV版以来のガノタかつFLCLトップ2の大ファンなので、これはもう見ない理由皆無と公開初日IMAXへ馳せ参じた訳だが、ネタバレ箝口令ガチガチの状況下SNSで何一つ呟けぬ…となったのでブログでこの生の感情を記録していこうと思う。以下ネタバレにつき要注意な。
今回は一年戦争のIFルートから始まり、1話でジーンの代わりにシャア本人がサイド7に侵入し、ガンダムとホワイトベース改めペガサスを奪取、その勢いで盟友シャリア・ブルと共にジオンを勝利に導くという架空戦記がTVシリーズ1話分のボリュームで描かれる。リーク情報で分かっていたものの、まさかこのボリュームでやるとは意外だった。このパートの醍醐味は何と言っても庵野氏による徹底的な初代リスペクト、まさにシンガンダムというべきあの雰囲気の再現であった。カメラアングルから安彦タッチのキャラ、富野節のセリフ廻しなどこれはもう庵野氏の仕事に間違いねえなあ、と思ったらズバリ的中で、パンフの鼎談で脚本とコンテを手掛けたとのこと。脚本と初稿は劇場一本分くらいのボリュームがあったらしいので、せっかくだからディレクターズカット版の制作して欲しいなあ。TV本編は鶴巻監督に任せて庵野氏はそっちをやればいいのに。それが駄目なら初稿を公開するんだ!円盤の特典とかで!買うから!
開始直後のナレーションはオリジナルと全く同じ、画面も内容は同一なれどデザインが一新されており、もうちょっとこう今風に3Dで動かせばいいのにという凡人の発想の斜め上を行くリッチなほぼ静止画というオールドファン泣かせのスタイルがプロローグパート全編を貫いていくのである。あの頃何度も見たあのシチュエーションが微妙にキャラの配置を変えながらIFルートを進んでいくという不思議な感覚、これを大真面目に作れる男は庵野秀明しかいないのだろうな、いろんな意味で。とにかく見てるあいだずーっとこういうシーンとか台詞が来るな、って身構えてるとその通りのが見せられて爆笑、というのを何度も繰り返されるというのは今までにない面白さだった。でもソロモンでジャブローの兄妹再会をMSで再現されるのには驚いたわ。他にもドレンやワッケイン、マリガン辺りの主要サブキャラだけでなくトクワンやデミトリーまで拾ってくれるサービス精神とかブラウ・ブロをトミノメモからの引用でキケロガって改名する遊び心なんかは本当にガンダム好きなんだなあ…ってビンビンに伝わってくる。さすが安彦良和の孫弟子でありガンダムの1話を見てアニメから卒業するのを思いとどまった男だぜ。愛が深い。
そいえばシャアの部隊を迎撃に来るガンダム1号機がゼロイチって呼ばれてたのでパンフ見てみたら型番がRX-78-01、02になってるのね。ORIGINに合わせて正史とは区別する為にアナザーではこっちの表記にしたのかな。
あと今回面白かったのはソロモン迎撃線での強襲揚陸艦ペガサス改めソドンのギミック。突入時のショックアブゾーバーや離脱時のメインエンジン逆噴射モードなど、オリジナルから大きく逸脱させずに上手く組み込んでて美味しいのよね。重力ブロックの配置変更も良き。
残念だったのは時間の都合かジオンでリバースエンジニアリングされたガンダムの量産型が登場しなかった事だな。本編が進めば出てくるのかなあ。
とまあプロローグだけで語る事が多過ぎるのだが、それから5年後のサイド6が舞台となる本編も鶴巻テイストが遠慮なく打ち出されて、FLCLやトップ2のファンだった自分には文句無しだし、山下いくと氏がエヴァを経てアナザーガンダムというある意味デビュー誌であるサイバーコミックス的な舞台にて、故郷に錦を飾るかのような主役機をデザインするという伏線回収は激アツと言わざるを得ない。キャラクターデザインの竹氏はちょっと違和感もあったけど、実際の本編では生き生きと動き回り思った以上に馴染んでるじゃん、ってなった。現金なものだ。
主人公のマチュはミニスカなのに予告では活発に動き回りつつもパンツは見せないガードっぷりで、やっぱりガンダムでは羽目は外せないのか…って気分だったけど本編ではいきなり逆立ちパンモロして色気のないパンツを見せつけてくれる無法っぷりにこれからの期待が高まるところだ。パートナーのニャアンやシュウジは現段階だとまだまだバックボーンが全く明らかになっていないのでこれからか。
ルックは現代風な本編サイドだが、初代のファンへの目配せもそこかしこに配置されてるのがおっさんには実に心地よい。クラバト用も建設会社の作業用もみーんな払い下げのザクを改造したものだし、サイド6に入港した木馬を出迎えるのはカムランだ。さらに運び屋の符丁はミハルとスパイのそれと同じだったりシュウジの隠れ家が連邦軍のランチだったりと小ネタも多い。特に闇取引されているザクの戦闘機能解除デバイスはテム・レイお手製のアレ!しかもジオニックのロゴが入っているので酸素欠乏症にならなかったテムは戦後ジオンに渡って技術者として活躍したとかもあり得るわけだ。んで息子も一緒に…なんてのもありか。
正直な話、めぐりあい宇宙以降に作られた様々なガンダム作品の中で一番面白かった。クオリティとしちゃハサウェイのが現代的で良いのだけれど、やはり初代へのリスペクトをここまで真正面から見せられてしまうともう完敗ですわ。これから始まるTVシリーズが待ち遠しいぜ!