フエタロさんの日記です。

はてなダイアリーサービス終了に伴い、2019/1/1よりこちらに移転しました。はてダでの更新日数は5625日でした。

3月のライオン後編を見てきたよ。

試写会で見た時にだいたいの感想は書いたけど*1、改めて観ると脚本が良く練られているなあ、と再確認させられた。2時間20分でこれだけの内容を盛り込みなおかつ原作の先までオリジナル展開で描く難易度の高い作業をこなしつつ、3月のライオンという作品世界のイメージを壊すことなくストーリーの終局まで描き切って見せた原作ファンとして文句なし!だった。
中盤の妻子捨男編の展開については既出の原作とかなり異なるのだが、これはおそらく脚本作業中にまだ原作がそこまで進んでいなかった為と思われるのだが、このおかげで原作と映画の異なる展開が見られて僕としては面白かった。特にあかりさんが最後に妻子捨男に向けて放つ惜別の一撃、これは原作者では描けなかったであろう、でもこれはこれでありというかむしろこっちのが好みかもしれん、と溜飲の下がる思いでもある。
そして幸田家の崩壊と再生、零と後藤との因縁の決着を描いたクライマックスはもう色々と語りたい事ばかりなんだけどネタバレになるので割愛。いずれ描かれるであろう原作と見比べるのが楽しみだ。
原作のあかりというキャラの性格は割と作者のネガティブな側面を反映しているキャラでもあり、そういうところを超えてきた感のある映画での振る舞いは、映画という多くの人が関わる作品だからこその化学反応なんだろうな。
映画ならではの楽しさというと、特に美術の作りこみの深さが原作を知っている分、普段見ている他の映画よりもひしひしと感じられた気がする。例えば島田さんの部屋は原作だとかなり殺風景な感じだけど、映画ではこけしなどの民芸品、城のプラモ、盆栽や飼っているオウムといった多趣味で奥行きのある人物として描かれていたり、川本家のテレビの横に今は使われなくなったであろうと思われる古ぼけたファミコンディスクシステムが置かれてて、仕事をやめてぶらぶらしていた捨男が遊んでたのだろうか、とか想像したりするのも面白いのだ。