フエタロさんの日記です。

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「風立ちぬ」を見てきたよ。

宮崎駿氏の映画は千と千尋がいまいちだったので以降劇場に足を運んでいなかったのだが、今回は史実ベースで零戦開発者のストーリーという事で興味が沸き、ナウシカ以来の初日初回鑑賞を決め込む。
千尋ハウル・ポニョといった半分あっちの世界に足をつっこんでしまったかのような最近の作品群が正直隙ではなかったので、本作は割と楽しく見られた。戦争という愚考から抜け出せない人間のおろかさに憤りつつも兵器というメカニックの面白さ・美しさに見せられてしまった氏の抱える二律背反がゴロンと作中に横たわり、もうそれはそれで仕方ない諦めもあり絶望しつも恒久平和を希求する左翼的な理想主義をビンビンに感じさせてくれる。そうだよ、こういうのが見たかったんだよ。もののけ姫のあとにこういうの作ってくれればなあ、とは思うけど、児童向けこそがアニメーションの本懐というポリシーを持つ宮崎監督であればこそ、それをとことんつきつめた末でないとここへは辿り着けなかったんだろうな。
メインストーリーは飛行機に憧れる二郎少年が夢の中でイタリアの技術者カプローニおじさんと出会い、開発者を目指していくのだが、現実と夢のシーンが相互に補完されていく構成はよかった。ただラストを夢側で纏めてしまっていて嫌いじゃないけどちょっと逃げてるきらいはある。あと計算尺を多用するさまが昔の技術者っぽくて格好いいね。それと煙草。シケモク吸う相棒とか次元以来か!
僕は航空機とか艦船とかあんまし興味ないんだけど、ここら辺好きなミリヲタだったらかなり見ごたえあるんじゃなかろうか。今時レシプロ機が飛び回るアニメなんてそうそうお目にかかれまいて。しかも手書きアニメで。空母からの艦載機発着シーンとかあるし。曲がり煙突の長門とか。
ストーリーのもう一つの軸となる主人公と婚約者の恋愛だが、まあ色恋が描ける人とは期待してなかったのでこんなもんだろうなという感じ。今時良家の令嬢が結核でとかゆわれてもなあ、みたいな。ただ嫁入りのシーンはとてもよかった。パヤオさんにしちゃ上出来のラブシーンではなかろうか。それが見れただけで今回は大収穫だよ。
気になったのは主人公のキャラデザイン。大人になっても顔つきが若すぎてどうにも不自然な感じを覚えた。それに庵野氏の素人演技というのはどうにもなあ。どっちか一方でも不自然でなければ気にならなかったと主けど。残念。